電脳文字対話 6
彼 :引越ししたらしいね。
私 :うん、2月の初めにね。歳をとるたびに引越しがキツくなってくるよ。前回の引越しでだいぶ本を処分していたから、今回はあまり処分する本がなく、手持ちの本はほとんどそのまま移動させたんだけど、しかしまあ、なんで引越しの荷造りのときって箱詰め中に気になって書類とか本とか手紙を中途半端な姿勢で長々と眺めてしまうんだろうね。あれがなければもっと作業がはかどるんだろうけどね。引越しの合間に、柴崎律さんの『養老教授、異議あり!』(社会評論社、2004)を読んだけど、三浦理論を学んだ人間が、現代のタレント学者による保守派に受けの良いタダモノ論的トンデモ本を真向から批判していて、面白かったよ。
彼:養老先生は最近、『バカの壁』の続編を出したらしいね。
私 :柴崎さんも今度は読みやすい新書にして批判の続編を出せばいいんじゃないかな。ところで、最近久しぶりに面白い小説を読んだよ。奥田英朗の『最悪』(講談社文庫)という本なんだけど、最初から最後まで一気に読みとおすことが出来たよ。いわゆる純文学ではないけれど、映画やテレビという娯楽に匹敵するエンターテイメント性を保持しつつ、それなりに人物の心理描写に鋭いところがあったり、人間性の本質に迫る場面があったりして、秀逸な作品だと思ったよ(和也が仲間にあっさりと二回も騙されてしまったり、川谷が地獄のような不幸を一挙に背負い込んでしまう描写など、リアリティに欠ける面が多少あったとしても、それが気にならないくらいの娯楽性のある)。
彼 :君が娯楽小説を読むなんて知らなかったな(笑)
私 :僕だってたまには読むよ。ところで、昨年末から社会を騒がせている耐震偽装問題だけど、すでに大手メディアも取り上げているように、この問題で真相究明につながる情報を提供し続けているブログに「きっこの日記」というのがあるんだけど、この現象をみて、本当に時代は変ったと思ったよ。マスコミが権力にすり寄ればすり寄るほど、一般市民の不満が高まり、IT化社会の波に乗り、こういう一市民の立場から真相を究明していく活動がどんどん広がりをみせていくんだろうね。今も意図的かどうなのか、耐震偽装の問題そっちのけで、マスコミはライブドア問題とトリノ五輪一色の報道になっているけど、僕らは小嶋とつるんでいるとされる伊藤公介と、国交省に口利きをしたとされる安倍晋三の秘書・飯塚の証人喚問を要求し続けなければならないだろう。
彼:いまだに安倍晋三が次の自民党総裁候補だといって褒めそやしている新聞があるが、バカげているね、まずは疑惑にはっきり答えろといいたいね。
私 :『週刊ポスト』は安倍晋三の偽装に関わる疑惑も取り上げているし、ライブドア問題で沖縄で不審死した元エイチ・エス証券副社長・野口氏の死にまつわる疑惑にもメスを入れており、比較的骨があるね。しかしあとは全滅だね。
彼 :君の好きなモーリー・ロバートソンはどうだい? 最近何かいいこと言ってるかい?
私 :うーん、先日のラジオで岡田尊司著『脳内汚染』という本を絶賛していて、ちょっと疑問に思ったね。著者は脳神経学者で、ゲームやネットが子供に与える悪影響についての彼の見解は納得するところが多々あるんだけど、一方でゲームやネットが脳の発達に与える影響に関する彼の見解については、賛同しかねるところがあった。もっとも、ちゃんと本を読んでないからまだ何ともいえないけどね。おそらく柴崎さんが読んだら養老先生と同類に見えるんじゃないかな。
彼:なるほど、モーリーさんも木から落ちる、か(笑)
(2006年2月26日記す 2025年12月4日再掲)
私 :うん、2月の初めにね。歳をとるたびに引越しがキツくなってくるよ。前回の引越しでだいぶ本を処分していたから、今回はあまり処分する本がなく、手持ちの本はほとんどそのまま移動させたんだけど、しかしまあ、なんで引越しの荷造りのときって箱詰め中に気になって書類とか本とか手紙を中途半端な姿勢で長々と眺めてしまうんだろうね。あれがなければもっと作業がはかどるんだろうけどね。引越しの合間に、柴崎律さんの『養老教授、異議あり!』(社会評論社、2004)を読んだけど、三浦理論を学んだ人間が、現代のタレント学者による保守派に受けの良いタダモノ論的トンデモ本を真向から批判していて、面白かったよ。
彼:養老先生は最近、『バカの壁』の続編を出したらしいね。
私 :柴崎さんも今度は読みやすい新書にして批判の続編を出せばいいんじゃないかな。ところで、最近久しぶりに面白い小説を読んだよ。奥田英朗の『最悪』(講談社文庫)という本なんだけど、最初から最後まで一気に読みとおすことが出来たよ。いわゆる純文学ではないけれど、映画やテレビという娯楽に匹敵するエンターテイメント性を保持しつつ、それなりに人物の心理描写に鋭いところがあったり、人間性の本質に迫る場面があったりして、秀逸な作品だと思ったよ(和也が仲間にあっさりと二回も騙されてしまったり、川谷が地獄のような不幸を一挙に背負い込んでしまう描写など、リアリティに欠ける面が多少あったとしても、それが気にならないくらいの娯楽性のある)。
彼 :君が娯楽小説を読むなんて知らなかったな(笑)
私 :僕だってたまには読むよ。ところで、昨年末から社会を騒がせている耐震偽装問題だけど、すでに大手メディアも取り上げているように、この問題で真相究明につながる情報を提供し続けているブログに「きっこの日記」というのがあるんだけど、この現象をみて、本当に時代は変ったと思ったよ。マスコミが権力にすり寄ればすり寄るほど、一般市民の不満が高まり、IT化社会の波に乗り、こういう一市民の立場から真相を究明していく活動がどんどん広がりをみせていくんだろうね。今も意図的かどうなのか、耐震偽装の問題そっちのけで、マスコミはライブドア問題とトリノ五輪一色の報道になっているけど、僕らは小嶋とつるんでいるとされる伊藤公介と、国交省に口利きをしたとされる安倍晋三の秘書・飯塚の証人喚問を要求し続けなければならないだろう。
彼:いまだに安倍晋三が次の自民党総裁候補だといって褒めそやしている新聞があるが、バカげているね、まずは疑惑にはっきり答えろといいたいね。
私 :『週刊ポスト』は安倍晋三の偽装に関わる疑惑も取り上げているし、ライブドア問題で沖縄で不審死した元エイチ・エス証券副社長・野口氏の死にまつわる疑惑にもメスを入れており、比較的骨があるね。しかしあとは全滅だね。
彼 :君の好きなモーリー・ロバートソンはどうだい? 最近何かいいこと言ってるかい?
私 :うーん、先日のラジオで岡田尊司著『脳内汚染』という本を絶賛していて、ちょっと疑問に思ったね。著者は脳神経学者で、ゲームやネットが子供に与える悪影響についての彼の見解は納得するところが多々あるんだけど、一方でゲームやネットが脳の発達に与える影響に関する彼の見解については、賛同しかねるところがあった。もっとも、ちゃんと本を読んでないからまだ何ともいえないけどね。おそらく柴崎さんが読んだら養老先生と同類に見えるんじゃないかな。
彼:なるほど、モーリーさんも木から落ちる、か(笑)
(2006年2月26日記す 2025年12月4日再掲)