電脳文字対話 20(久米宏、ラジオをやめる)
私︰ やあ、久しぶり。きのう、録画していたドラマ『アメリカに負けなかった男〜バカヤロー総理 吉田茂』(テレビ東京、再放送)を見たんだけど、予想どおりの展開だったね。
彼︰ 何が?
私︰ 1951年、吉田茂がサンフランシスコ講和条約を結んだ際、同時に旧安保条約と「吉田・アチソン交換公文」も結んでいるんだけど、この「吉田・アチソン交換公文」についてはドラマではいっさい触れていなかったね。
彼︰ なんだい、その何とか公文ってのは?
私︰ 日本が1951年当時、朝鮮戦争に関して行っていた米軍への軍事支援を、独立後も変わらず継続しますという条約だよ。
彼︰ そういうことは歴史の教科書に書いておいてくれよ。そんな話、まったく聞いたことないぞ。
私: ここまで日本が属国化させられたことの背景には朝鮮戦争の勃発が絡んでいた、というのが矢部宏治氏の見解だ(『知ってはいけない』)。
彼︰ その戦争って実はまだおわってないんだってな。
私︰ そう。だから日本はいまだに独立できていないんだよ。日本が米軍の桎梏を脱して本当に独立したいのであれば、休戦中の朝鮮戦争を終わらせるように韓国や北朝鮮に働きかけるような外交をしなければならないんだけれど、現実はその逆を行っている。日本の指導者は、過去も現在も、日本が米軍の支配下にあることを継続させる道を歩もうとしている。三島由紀夫はそのことを直感で分かっていたみたいだね。もともと安保条約というのはジョン・フォスター・ダレスが国連憲章106条の暫定条項を基礎として結ばせたものなのに、いつのまにかそれが永続化してしまっているのがおかしいんだ。「占領の目的が達成され、日本国民自身が選んだ平和的な傾向をもつ政府が成立したら、占領軍はただちに撤退する」とポツダム宣言には書かれているが、狡猾なダレスはこの暫定条項を(正確には国連憲章43条【軍事協定条項】と組合せて)使って米軍駐留の永続化を図り、それに成功したわけだ。
彼︰ たしかサンフランシスコ講和条約にも、「連合国のすべての占領軍は、この条約の効力が発生したあと、なるべくすみやかに、かつ、いかなる場合にも90日以内に、日本から撤退しなければならない」とあったよね。
私︰ ああ、ただし、講和条約のその条文の次に、「ただしこの条文の規定は、二国間で結ばれた協定(つまり、安保条約)による外国軍(つまり、米軍)の駐留をさまたげるものではない」と書かれているのだけどね。
彼︰ なかなかそこまで読みこんでる人はいないだろうね。
私︰ ドラマで白洲次郎や池田勇人など「吉田学校」のメンバーが必死になって和訳し作成していた講和条約の条文には、戦後の沖縄でアメリカがやりたい放題できる条文がコムツカシイ言葉で表現されている(アメリカは沖縄や小笠原などを信託統治にすると見せかけて、あえてせず、宙ぶらりんな状態を作ることで米軍が司法行政立法すべてを牛耳ることが可能となるように仕組んでいる(矢部宏治『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』220〜221頁)。
彼︰ ドラマの最後の、あの感動的なシーンのもとになったあの演説文にはそんなことが書かれてあったのかい。
私︰ この件に関しては矢部宏治氏の次の言葉で締めくくっておきたい。
《 最大の問題は、そもそも1952年に日本の占領を終わらせた「サンフランシスコ平和条約」が、じつは普通の平和条約ではなかったことだ。
たしかにそれは、「政治」と「経済」においては占領状態を終わらせた「寛大な」条約だったが、逆に「軍事」に関しては、安保条約と連動するかたちで日本の占領を法的に継続し、固定するためのものだった。
その結果、「戦後日本」という国は21世紀になってもなお、「軍事面での占領状態がつづく半分主権国家(Half sovereign state)」であり続けている−−。》(矢部宏治『知ってはいけない』【講談社現代新書、2017年。189頁】強調は引用者)
彼︰ なんだか、その時期はいろいろ大変だったんだな。俺はそんなことより、あの麻生お坊っちゃんのカワイコちゃんアピールが気になってしかたなかったよ。
私︰ あれは見なかったことにしよう(笑)。
彼︰ 総理復活でもねらってるんじゃないか(笑)。そういえば、久米さんがとうとう唯一のレギュラー番組「久米宏 ラジオなんですけど」やめるんだってね。
私︰ その話はぼくも驚いたね。久米さん本人は「衰えた」っていうけど、聞いてて全然そんな感じしないけどね。また後任がバービーってのが明らかに局の方針転換みたいなものを感じるよね。
彼︰ たしかに。
私︰ 久米さんの「ラジオなんですけど」は、もともと人気のある番組だったけど、コロナ騒動になってからまた一段とかがやきを増した番組のひとつだったからね。
彼︰ 俺は後任はダースレイダーさんとプチ鹿島さんにやってもらいたかったな。
私︰ ああ、あのyoutube配信番組の『ヒルカラナンデス』だね。いま一番面白くてためになる番組かもね。単純に面白いから聴いてるんだけど、1時間なり2時間なり聴き終わってみると、いつのまにか知識が増えている。それは選挙リテラシーについてだったり、税金の仕組みについてだったり、民主主義の本来のあり方についてだったりいろいろなんだけれども、とにかくためになる。
彼︰ 基本的なスタンスもいいよね。いまの大手メディアは強きを助け弱きをくじく、的なところがあるけど、この二人は逆だからね、信用できるよ。
私︰ 本当にこういう人たちこそ、まっとうな対価の与えられる仕事についてほしいよね。僕はもう子どもたちにも聴かせようと思っているよ。いい勉強になるよ。
彼︰ じゃあ最後に、今年の流行語大賞は、「久米さん、辞めるってよ」ということで。
私︰ ぼくは「瀬戸際の瀬戸際」に一票ということで(笑)!
(2020年6月10日記す 2026年3月23日再掲)
彼︰ 何が?
私︰ 1951年、吉田茂がサンフランシスコ講和条約を結んだ際、同時に旧安保条約と「吉田・アチソン交換公文」も結んでいるんだけど、この「吉田・アチソン交換公文」についてはドラマではいっさい触れていなかったね。
彼︰ なんだい、その何とか公文ってのは?
私︰ 日本が1951年当時、朝鮮戦争に関して行っていた米軍への軍事支援を、独立後も変わらず継続しますという条約だよ。
彼︰ そういうことは歴史の教科書に書いておいてくれよ。そんな話、まったく聞いたことないぞ。
私: ここまで日本が属国化させられたことの背景には朝鮮戦争の勃発が絡んでいた、というのが矢部宏治氏の見解だ(『知ってはいけない』)。
彼︰ その戦争って実はまだおわってないんだってな。
私︰ そう。だから日本はいまだに独立できていないんだよ。日本が米軍の桎梏を脱して本当に独立したいのであれば、休戦中の朝鮮戦争を終わらせるように韓国や北朝鮮に働きかけるような外交をしなければならないんだけれど、現実はその逆を行っている。日本の指導者は、過去も現在も、日本が米軍の支配下にあることを継続させる道を歩もうとしている。三島由紀夫はそのことを直感で分かっていたみたいだね。もともと安保条約というのはジョン・フォスター・ダレスが国連憲章106条の暫定条項を基礎として結ばせたものなのに、いつのまにかそれが永続化してしまっているのがおかしいんだ。「占領の目的が達成され、日本国民自身が選んだ平和的な傾向をもつ政府が成立したら、占領軍はただちに撤退する」とポツダム宣言には書かれているが、狡猾なダレスはこの暫定条項を(正確には国連憲章43条【軍事協定条項】と組合せて)使って米軍駐留の永続化を図り、それに成功したわけだ。
彼︰ たしかサンフランシスコ講和条約にも、「連合国のすべての占領軍は、この条約の効力が発生したあと、なるべくすみやかに、かつ、いかなる場合にも90日以内に、日本から撤退しなければならない」とあったよね。
私︰ ああ、ただし、講和条約のその条文の次に、「ただしこの条文の規定は、二国間で結ばれた協定(つまり、安保条約)による外国軍(つまり、米軍)の駐留をさまたげるものではない」と書かれているのだけどね。
彼︰ なかなかそこまで読みこんでる人はいないだろうね。
私︰ ドラマで白洲次郎や池田勇人など「吉田学校」のメンバーが必死になって和訳し作成していた講和条約の条文には、戦後の沖縄でアメリカがやりたい放題できる条文がコムツカシイ言葉で表現されている(アメリカは沖縄や小笠原などを信託統治にすると見せかけて、あえてせず、宙ぶらりんな状態を作ることで米軍が司法行政立法すべてを牛耳ることが可能となるように仕組んでいる(矢部宏治『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』220〜221頁)。
彼︰ ドラマの最後の、あの感動的なシーンのもとになったあの演説文にはそんなことが書かれてあったのかい。
私︰ この件に関しては矢部宏治氏の次の言葉で締めくくっておきたい。
《 最大の問題は、そもそも1952年に日本の占領を終わらせた「サンフランシスコ平和条約」が、じつは普通の平和条約ではなかったことだ。
たしかにそれは、「政治」と「経済」においては占領状態を終わらせた「寛大な」条約だったが、逆に「軍事」に関しては、安保条約と連動するかたちで日本の占領を法的に継続し、固定するためのものだった。
その結果、「戦後日本」という国は21世紀になってもなお、「軍事面での占領状態がつづく半分主権国家(Half sovereign state)」であり続けている−−。》(矢部宏治『知ってはいけない』【講談社現代新書、2017年。189頁】強調は引用者)
彼︰ なんだか、その時期はいろいろ大変だったんだな。俺はそんなことより、あの麻生お坊っちゃんのカワイコちゃんアピールが気になってしかたなかったよ。
私︰ あれは見なかったことにしよう(笑)。
彼︰ 総理復活でもねらってるんじゃないか(笑)。そういえば、久米さんがとうとう唯一のレギュラー番組「久米宏 ラジオなんですけど」やめるんだってね。
私︰ その話はぼくも驚いたね。久米さん本人は「衰えた」っていうけど、聞いてて全然そんな感じしないけどね。また後任がバービーってのが明らかに局の方針転換みたいなものを感じるよね。
彼︰ たしかに。
私︰ 久米さんの「ラジオなんですけど」は、もともと人気のある番組だったけど、コロナ騒動になってからまた一段とかがやきを増した番組のひとつだったからね。
彼︰ 俺は後任はダースレイダーさんとプチ鹿島さんにやってもらいたかったな。
私︰ ああ、あのyoutube配信番組の『ヒルカラナンデス』だね。いま一番面白くてためになる番組かもね。単純に面白いから聴いてるんだけど、1時間なり2時間なり聴き終わってみると、いつのまにか知識が増えている。それは選挙リテラシーについてだったり、税金の仕組みについてだったり、民主主義の本来のあり方についてだったりいろいろなんだけれども、とにかくためになる。
彼︰ 基本的なスタンスもいいよね。いまの大手メディアは強きを助け弱きをくじく、的なところがあるけど、この二人は逆だからね、信用できるよ。
私︰ 本当にこういう人たちこそ、まっとうな対価の与えられる仕事についてほしいよね。僕はもう子どもたちにも聴かせようと思っているよ。いい勉強になるよ。
彼︰ じゃあ最後に、今年の流行語大賞は、「久米さん、辞めるってよ」ということで。
私︰ ぼくは「瀬戸際の瀬戸際」に一票ということで(笑)!
(2020年6月10日記す 2026年3月23日再掲)