属性を具体的と抽象的と二重に立体的にとりあげる
〇“「書か」せる”について
《〈動詞〉に右のような〈接尾語〉を加えたものは、具体的と抽象的と運動・変化を二重に立体的にとりあげているわけですから、この二重性を特別に意識しなければならない場合も、時に起ってきます。かたちの上では同じ
急いで書かせる。
を、発音のときは
急いで書か――せる。(a)
急いで――書かせる。(b)
と区別することがあります。これは内容がちがうのです。(a)は、普通以上に早く書くようにさせることで、ペンを持つ手そのものがはやく動かせられるのです。(b)は書かせることをはやくはじめるので、ペンを持つ手そのものは普通に動いているのです》(三浦つとむ『日本語はどういう言語か』〔講談社学術文庫版〕164頁)
――同じように、具体的と抽象的と実体を二重に立体的にとりあげている場合もあるのではないだろうか? もちろん〈形式名詞〉を使った例はそうであるが、それ以外にもあるのではないだろうか?
(2024年8月17日)